実績を過信するな!
当然のことだが出世するためには仕事で実績を出すことが極めて重要である。中には実績がないのに、うまく上司に取り入り出世できる人もいるが、基本はやはり実績である。
だがこのことは、実績さえあれば大丈夫ということを意味しているわけではない。実績を過信するのは危険だ。実績は作られることがあるからだ。
新規案件を開拓したが・・・
組織の中では、上司が気に入っていて引き上げようとしている人に対して、実績がプレゼントされることがある。こうしておけば、特定の人を優遇したといわれずに済むからだ。
金融機関に勤めるOさんは、これまで取引きのなかった会社にコンタクトを取ることに成功した。比較的資金需要のある会社で、新規開拓先としてはなかなかの会社だった。
会社には現場の社員が開拓する新規案件と上層部同士の話で決まる新規案件があるが、その会社の案件は、実は両社の上層部で話が進んでいた。
それを知らないOさんはその会社に営業をかけ、相手の担当者もそれを知らずに提案を検討している状態であった。やがてOさんは両者の上層部が取引きを検討していることを知る。
副社長がポロっともらした一言
Oさんは上司であるNさんと一緒に取引きのキーマンとなっている副社長をたずねた。副社長はこう言った。
「この案件は○○のところに回そうと思っていたのだが・・」
「まあ、でも営業は早いもの勝ちだ」
「O君が開拓したのなら、この案件はN君のところにあげるよ」
副社長がポロっと口にした○○というのは、副社長のお気に入りで、将来の社長候補No1と呼ばれている課長のHさんの名前であった。
Hさんはもちろん実績も上げてきていたが、副社長の推薦によってトントン拍子で昇進していた。副社長はさらに磐石の実績をHさんに残すために、社内での評価が高くなる優良な新規案件を優先的にHさんに割り当てようとしていたのである。
Oさんはこれから課長に昇進する年齢だが、管理職以上の実績は、場合によっては意図的に作られることを肌身で知った。その後、Hさんは本部長に昇進し、Oさんの上司は地方に異動になってしまった。
この副社長はHさんに案件を割り当てようとしたことをあまり隠そうとはしていないので、まだ良心的かもしれない。だがこういった業績のかさ上げは水面下ではかなり露骨に行われているのである。
数字がすべてといえるのは断トツでトップの人だけ
管理職以下の場合には、これほど露骨に案件の割り振りが行われることは少ない。だが、特定の人を優遇する意図はあまりなくても、結果的にそうなっているケースは多い。
上司にしてみると、自分の実績になる優良案件は、できるだけ信用できる部下にまかせておきたいと思うものである。そうであれば優良案件が自分に回ってきたときには、自分とコミュニケーションが良く取れていて、安心できる部下を担当者にするだろう。これが周囲から見れば、特定の人を優遇しているように映るかもしれない。
営業職など数字が重視される職場では「数字がすべてであり、数字さえあげていれば出世できるはず」と思っている人も多い。
確かに営業の現場では数字が絶対的な影響を持っていることが多い。だがそれは、断トツの営業成績を残している人の話である。
平均レベルの社員にとって数字はそれほど重要ではない
多くの組織が、断トツの結果を残す1割の人間と、平均的な結果を出す6割の人間、平均以下しか結果を出すことができない3割の人間で構成されている。
平均以下の3割が出世できないのは当然として、もっとも多いのが平均的な6割の社員なのである。ここではドングリの背比べとなる。多少の営業成績の違いは誤差にしかならない。
こうなると、バランス感覚であったり、周囲との協調性、上司とのコミュニケーションなどが意味を持ってくる。そして上司は有望な部下によい案件を割り当てることになり、結果的に成績も向上してくるのだ。
断トツの営業成績であるにもかかわらず、まったく出世できないという人はほとんどいない。だがそこそこの成績をあげているにも関わらず「自分はなぜ出世が遅いのか?」と考えてる人がいるとするならば、上記の理由を考えてみるとよいだろう。
【参考記事】
「やたらヨイショする人は出世できる?」
【関連サイト】
「お金持ちへの取材で明らかになった、お金持ちになるための法則」
「投資で成功するために絶対知っておくべきこと」
「起業・独立で成功するために知っておくべきこと」
「放射能から身を守る食品サイト」
「記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト」
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