筆まめは出世するのウソ
筆マメは出世するとよく言われる。もちろんマメに連絡を取ったり、挨拶を欠かさないことは極めて大事なことである。だがせっせとマメに手紙を書いていれば出世できるのかというとそうではない。今回は筆マメと出世の関係を探ってみる。
立場の高い人でなければ意味のないテクニック
よく出世術や仕事術的なノウハウ本で、マメに礼状を書いたりすることの効用を説くものがある。もちろんこれらの効用を全否定するわけではない。
だがこの手の本で取り上げられている人は、往々にして著名なビジネスマンだったりする。その中身はというと、有名で超多忙な経営者と会った著者が「すぐに丁寧なお礼状が届いて感激した」というような類のものだ。
こんなことは当たり前のことである。ある程度の社会的な立場になれば、お礼状を作成したり、面談後に電話をかけるという行為は、PR戦略として業務プロセスに組み込まれている。
秘書が無数の面談をすべて管理しており、お礼状の作成や電話をかけるタイミングまでスケジュール化されていることも多い。直筆と思われるメモもホンモノであるか保証の限りではない。実際筆者が知る著名な経営者は、直筆もどきのお礼メモを書く専門の秘書要員を配置していた。
大事なことは、こういった気配りは立場の高い人が行ってこそ意味があるということである。このようなふるまいに感激する人は、最初から相手を自分より格上として見ている人が多い。格上と思っている人から、丁重な扱いを受けると、自分も立場が上がったような気がして感激するというメカニズムである。
相手が望むものを提供しないと意味がない
ところが同じことを対等あるいは目上の人に対して安易に行ってしまうと、逆に相手の心象を悪くする可能性もある。
これから出世しようという人は、自分より下の人ではなく、自分より上の人にアピールしなければならない。
立場が上の人は、よほど有用だと思わない限り、自分より立場が下の人と積極的に交際することはない。そんな間柄なのに、やたらマメに手紙など送られても迷惑にしかならないであろう。
しかもこの手の話がやっかいなのは、面談相手と著者が異性であることが多いということだ。考えてもみて欲しい。同性で、しかも立場が下の人からマメな手紙をもらっても気持ち悪いだけではないか?
出世ということを考えるならば、相手の都合がすべてである。相手がマメな連絡を望むならマメに連絡し、必要事項だけを連絡して欲しいという人ならば徹底的にそれにあわせなければならない。相手の要望を満たさなければ出世はおぼつかないのである。筆マメは下手をするとただのナルシルトになってしまう可能性さえある。
筆マメになるくらいなら、ゴマスリ茶坊主になれ
もし現実的な話として筆マメのようなマメさを出世の道具にしようと思うなら、もっと直接的に徹底的したゴマスリになるのがよい。
能力のある上司であれば、ゴマスリ部下のことは本心では徹底的にバカにしており、高い評価を与えることはない。
だが必要に応じて利用しようと考えるので、実際はそれほど悪いようには扱わないのが普通だ。
一方あまり能力のない上司の中には、徹底的にゴマをすられると気分がよくなり、高い評価を与える人もいる。ゴマをすられて気分を害し、低い評価を与える上司というのは、実はほとんど存在しないのである。
低い評価を与えられる可能性が少なく、一定割合で高い評価がもらえるならば、徹底的にゴマをする価値はあるかもしれない。
筆者がインタビューしてきた「出世した」ビジネスマンの中には、ゴマスリ君はほとんどいない。だが何らかの形で上司に対するヨイショは行ってきている。またゴマスリそのものを否定する人もほとんどいなかった。
要するに相手のニーズにいかに応えるかということが重要であり、筆マメなどのテクニックはそれを実現するための手段であるということを理解すべきだろう。
【参考記事】
「そこまでするか?という出世学」
【関連サイト】
「お金持ちへの取材で明らかになった、お金持ちになるための法則」
「投資で成功するために絶対知っておくべきこと」
「起業・独立で成功するために知っておくべきこと」
「放射能から身を守る食品サイト」
「記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト」
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