人は何で動くのか
組織の中で成果を上げるためには人をうまく動かさなければならない。出世できる人は、人は組織の中でどのようなメカニズムで動くのか理解している。
本来なら人事と予算で組織は動く
現代の会社組織は本来は合理的に形づくられており、論理的に意思決定が行われることになっている。組織のトップに立つ人は、組織全体の利益が最大化するように意思決定を行い、各部門の責任者は最終的にその決定に従わなければならない。経営トップの決定は、最終的には業績という形で検証されることになる。
こうした合理的組織の場合、メンバーが組織の指示に従うのは、自主的なものとなる。組織の仕組みを理解し、指示に従うことが全体の利益を最大化すると考え、積極的に規律を重んじるという仕組みである。ただ現実にはこうしたきれいごとだけでは組織は回らない。
中には個人的な利益の拡大のために指示に従わない人が出てくる可能性がある。こうした状況に対処するため、ほとんどの組織では、各階層の上司に対して、人事と予算の権限を与えている。カネと人を握ることで、組織の構成員を統率するという仕組みである。
指示に従わないと必要な予算が得られず業務が滞ることになる。また、不本意な人事や最悪の場合には解雇のリスクもあるということになると、ほとんどの人は指示を受け入れる。多くの組織が、人事権と予算を軸に統治が行われているのは、こうした理由からである。
権威がないと動かない組織というのも現実には存在する
したがって組織のリーダーとして権限を振るうには、人事と予算を効果的に割り振るのがよいということになる。合理的な組織におけるマネジメントにはこうしたスキルが求められる。
だがすべての組織がこうした合理主義で動いているわけではない。中には前近代的、ムラ社会的なメカニズムで統治が行われているところもある。こうした組織では、ルールに基づく権限よりも権威を持っていることがリーダーシップの源泉になる場合がある。
これが暴力的な形で顕在化したのが、いわゆるブラック企業ということになるわけだが、そこまでひどくなくても、合理的な権限によらず組織が動いているというケースは意外と多い。
このような組織でリーダーシップを発揮するためには、ちょっとした工夫が必要となる。自分よりさらに上の立場にいる権威ある人物の威光を使ったり、大きな声を出して威圧的に振る舞うなど、原始的・動物的なテクニックがモノを言う。
組織の中で出世しようということであれば、その組織がどのようなメカニズムで動いているのかについては熟知していなければならない。統治の仕組みを知ることは組織を率いる基本である。
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