なぜあなたは出世できないのか?-出世の教科書

ビジネスパーソン100人への取材で明らかになった出世する人の特徴

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人を動かすことと組織を動かすことは違う

 

 ある程度、組織の中での役職が上がってくると、物事に対する見方というものも変えていかなければならない。人に対する見方もそのひとつの例である。

組織を動かすことの意味
 若手の時には、基本的に自分のことだけを考えていればそれでよい。もちろん組織で仕事をする以上、人のコミュニケーションは必須であり、上司が何を求めているのかを察知する能力はとても重要である。しかし、あくまでその関係は一対一のものであり、自分の成果を最大限に発揮するというところに限定されていたはずである。

 管理職になってくると、状況は大きく変わってくる。自分の成果に加えて、部下を動かして成果に結びつけるという発想が必要となってくる。本コラムでも何度か指摘してきたが、ここが出世におけるひとつのカベとなることが多い。いくら自分の仕事ができても、人を動かすことができなければ、チームの成果にはつながらないからである。

 しかし、管理職になって直面するカベとしては、これはまだまだ序の口である。上級管理職から役員へとポストが上昇することになると、さらに別の視点が必要となってくる。それは、人を動かすのではなく、組織を動かすという概念である。
 これをうまく理解することができず、上級管理職以上への出世に失敗するビジネスパーソンは少なくない。

 人を動かすことと、組織を動かすことは似ているが、少し違う。組織をうまく動かすためには、そこで働いている人の顔は一度忘れる必要がある。クールな立場で、ゲームのコマのように組織を使うという感覚が求められる。

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組織を動かすにあたって顔を見る必要はない
 チームを動かすところまでは、あくまで思考の中心は人にある。チームを構成するメンバーの個性を理解し、それぞれの個性に合わせてコミュニケーションしていくことで、人をうまく動かすことが可能となる。つまり、各人のモチベーションの源泉が何なのかを理解し、それに合わせて仕事を割り振っていけばよい。

 ところが組織を動かすということになると、そうはいかなくなる。組織を動かすためには、組織を構成しているメンバーの顔は一旦忘れ、無機質な対象として、合理性で判断したり、指示する必要が出てくる。構成員の利害やモチベーションではなく、組織の利害やモチベーションを中心に動かしていくのである。

 人によってモチベーションは異なるので、組織を合理性だけで判断してもよいのかという疑問が浮かぶかもしれないが、あまり気にする必要はない。個人よりも小さなグループ、小さなグループより大きなグループと、規模が大きくなるにしたがって、個性が発揮される割合は少なくなってくる。

 部長クラスとなり、それぞれの課を動かすというレベルまでくれば、各課の課長がどんな人なのかということよりも、組織全体としての利害で、その課は動いていくことになる。したがって純粋に無機質な存在と考えて差し支えない。

 これは個別企業の経営分析とマクロ経済の分析の違いにも似ている。個別企業の分析は、各企業の「顔」が見える状態で行うことが普通である。しかしマクロ経済になってくると、個別の「顔」は見えない。だが、個別要素を考慮に入れなくても、結果は大きく間違うことはないのだ。

 こうした「大きな」視点を中間管理職のうちから持つ事ができるかどうかが、「その上」にいけるかどうかの違いとなってくるのだ。

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