決められない人の思考回路
組織の中には、物事を決められない人というのが一定数存在する。出世するためには、決められない人にならないことはもちろんだが、決められない人がなぜそうなっているのかについても理解しておく必要がある。こうしたことが分からないと、組織の中でうまく動くことはできない。
どらも大事なので選ぶことができない?
ある企業で、商品Aと商品Bのどちらかを選択しなければならない状況になったとする。決断できない人に、その理由を尋ねてみると、ある程度、共通した反応が見られる。それは、どちらも大事という反応である。
商品Aを採用すれば、商品Bは捨てなければならない。商品Bを採用すれば、当然だが、商品Aは捨てなければならない。決められない人は、どちらも大事なので、斬り捨てられないと考えてしまう。
これは企業の中で、リストラすべき部署を選ぶことができない経営陣にも見られる傾向である。部門Aも大事だし、部門Bも大事なので、どれか一つを選べないという。
だが、よくよく考えてみると、この考え方は少しおかしい。そもそも組織の中で大事でない部門など存在するはずがない。大事ではない部門などを持っていたのだとしたら、それこそ大問題である。
つまり、どの部門をリストラするのか、どの商品を選択するのかということを議論するにあたって、大事か大事でないかを判断基準にするのは、ナンセンスなのである。
企業の中では、すべてが大事な仕事であり、すべてが大事な商品であることを大前提にしなければ、意思決定は不可能である。
決められない人の多くは自己中心的
すべてが大事な中で、どれかを選択するという行為は、要するに優先順位を決める行為である。意思決定というのは、どれが大事なのかが問題ではなく、どう優先順位を付けるかに集約される。
物事の優先順位というのは、状況によって変わってくるし、絶対的な基準というものは存在しない。それ故に、意思決定権者の存在が重要であり、そこには責任というものが生じることになる。
ところが決められない人というのは、優先順位ではなく、大事なのかどうかを基準にしてしまう。その結果、あれも大事、これも大事といって決められなくなってしまうのだ。
このようなタイプの人は、一見、人がよさそうに見えるが決してそうではない。大事か大事でないかはかなり主観に左右されるものであり、客観的な基準とは言い難い。つまり決められない人というのは、物事を主観で判断している可能性が高く、場合によってはかなり自己中心的に振る舞うことになる。
人は大きな決断を迫られるケースが少ないので、あまり表面化しないが、こうした人の割合は実はかなり高い。このような人と関わる際には細心の注意が必要である。
普段の言動を注意深く見ていれば、決められないタイプの人を見分けることはそれほど難しくはない。普段からしっかり観察しおき、イザという時に、とばっちりを受けないようにしておきたい。
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