出世できる人は組織について知っている
出世できる人は組織に詳しい。当たり前といえば当たり前のことだが、これは非常に大事なテーマである。多くの人は、自分が勤めている会社の組織が、なぜ、そのような形になっているのか、あまり意識していない。これでは組織の論理を理解することは難しいだろう。
組織は基本的にビジネスに合わせて変化する
程度の差こそあれ、組織というものは、その会社が行っているビジネスに最適なように変化している。組織の改編がほとんど行われていない企業は、ビジネスモデルが何十年も変化してない可能性が高い。
日本の中央官庁がその典型だが、部署の名前や人事のパターンが戦前からほとんど変わっていないところもある。こうした組織の場合、誰が出世しやすいのかというルールは、非常に明確になっていることが多い。
一方、変化の激しい業界の場合は、当然のことながら、組織の変更も激しい。こうした組織では、組織が変わるたびに、出世のルールも変わっていることも多いので注意が必要となる。だが意外なことに、ビジネスの内容が変わって、組織の形態も変化しても、その会社の基本形は変わらないことが多い。
こうした普遍的な法則は、人事の中にも見え隠れしているはずだ。組織の改編が多い会社の場合には、変化を見るのではなく、むしろ変化しなかった所を見た方が分かりやすい。
どんなに業態が変わっても人事部門の仕事やその影響力が変わらない会社もあるし、以前の組織で有力といわれていた部署は、新しい組織でも、陽の当たる仕事を割り振られていたりするかもしれない。このあたりの特徴が分かれば、出世の法則を掴んだも同然だ。
組織を誰が決めているのか?
会社の組織が変わるときには、社長や専務など、かなりの上の役員が関与することがほとんどである。
規模の大きい企業であれば、社長などのエライ人が具体例を考えるのではなく、経営企画室など、経営トップのスタッフ部門が、作業をしていることも多い。いずれにせよ、組織を考える人の数はあまり多くないことがほとんどである。
そうであれば、新しい組織は、誰が何の目的でデザインしたのかを考えることで、出世の法則も見えやすくなるだろう。社長の鶴の一声で組織をよりフラットにしたのであれば、その社長は、自身による独裁を強めようとしていることは明らかである。
そうなった場合、多くの人が、直接社長にアピールに行くようになることは明白であり、社長をどう口説き落とすのかが、プロジェクトのカギを握ることになる。
逆に、本部制や事業部制のような形態になった場合には、その本部がひとつの会社のような機能を果たすようになる。どの本部に配属になるのかは、昇進ルートに大きな影響を及ぼすことになるだろう。
一方、時代の流れに合わず、不必要な部署が温存されているように見える組織というものある。だが、一件、非効率に見える組織も、権力バランスを取るためには、最適な構造になっているということも少なくない。
組織には何らかの合理的な意味があることが多く、こうした部署の存在は、組織内の権力構造を知る上で、非常に有益なヒントとなるはずだ。
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