なぜあなたは出世できないのか?-出世の教科書

ビジネスパーソン100人への取材で明らかになった出世する人の特徴

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出世できる人は効率化を考えない

 

 「効率化」は魔法のキーワードである。効率化を求めることは絶対的にいいことであり、それに疑問を差し挟む余地はないと考えられている。ビジネスの現場を見渡しても、無意識に、空気のような感覚で効率化という言葉を口にする人は多い。
 だがここには大きな落とし穴が待ち受けている。出世したいと思っているのなら、こうした思考停止は要注意だ。

効率化は「昭和」なキーワード?
 では効率化の何がいけないのだろうか。もちろん効率化そのものが悪いことであるはずがない。同じ仕事をより短い時間でこなすことができれば、その分、余力ができる。その余力を使えばより多くのモノを生産することができる。

 ここで重要なことは、余力を生産の拡大につなげるという部分である。これが成立するためには、常に需要が供給を上回っている必要がある。ある工場で1個の製品を作るのに10分の時間がかかるとしよう。これが5分で出来れば生産量は倍になり、収益も倍になる。しかし、そのためには注文が次々にやってくる、つまり供給よりも需要が多いことが大前提なのである。

 需要がない中で効率だけを追求しても意味がない。注目がやってこないのに、作る時間を短縮してもムダな努力に終わってしまうのだ。効率化という概念も下手をすると、大量生産が当たり前で、たくさんモノを作れば黙っていても売れた「昭和」な時代の遺物になりかねないのである。

 今の時代は、大量に作ることよりも、売れる商品を生み出すことの方がずっと大事である。仕事に対するリソースは、効率化に向けるよりも、新しい価値の創造に向けた方が合理的な場合もあるのだ。

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大事なのは効率化ではなく最適化
 これを社内の仕事にあてはめてみよう。同じ仕事を効率的に進めれば、余剰の時間を作り出すことができる。この時間を他の仕事に回すことができれば、より大きな成果につながってくる可能性がある。
 ここで重要なのは、生まれた余力をどこに回すのかという部分だ。つまり効率化というのは、余ったリソースを他に回し、従来以上の収益が得られることが確実になった時点で初めて意味を持ってくる。

 出世できる人は、与えられた仕事以外に、何をすれば自身の評価が上がるのか、出世につながってくるのかを常に考えている。上司が案件を抱えて困っている状況であれば、自身の仕事をさっさと終わらせて、上司に「次の仕事を下さい」とアピールする効果は非常に高いだろう。そのような時には、全力で仕事の効率化に邁進した方がよい。

 一方、他部署との調整などで、思うように仕事が進まない時もある。遅く進捗にイライラすることもあるが、このような時はあえて動かない方が得策だ。時間が問題を解決してくれることもあるからだ。出世できる人は、このような局面では、効率性など考えない。あえて時間をかけてムダなコミュニケーションを重ね、コンセンサスを得ることに注力している。

 要するに、出世できる人は仕事の「効率化」ではなく「最適化」が上手ということになる。仕事の効率化は最適化の中のごく一部でしかない。それがすべてになってしまっている人と、そうでない人との間に差がつくのは当然のことである。

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