なぜあなたは出世できないのか?-出世の教科書

ビジネスパーソン100人への取材で明らかになった出世する人の特徴

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有休消化にマナーが必要なのかという論争から考える出世のメカニズム

 

 職場のマナーに関する専門家の指摘がネット上で論争となっている。
 有給を取る場合には「忙しいときに申し訳ありません」と気遣うべき、出社したら「全員に行き渡るお菓子を差し入れる配慮があるとよい」といった指摘に対して、有給は労働者の権利であるのにそれはおかしいと批判の声が上がっている。一連の論争は日本の会社における出世を考えるひとつのよい材料となる。

日本の会社の多くは、近代的な制度になっていない
 理屈からいうと、有給は労働者の権利であり、そのために周囲にお菓子などを配る必要など全くない。だが、これは欧米における標準的な会社に対する認識が共有されていればの話である。実際のところ日本の会社の多くで、それは成立していない。

 会社というものは、所有者、経営者、労働者の3者で構成されている。株式会社の場合、所有者は株主、経営者は取締役、労働者は従業員ということになり、それぞれが持つ権利や義務はまったく別モノである。労働者は会社の所有者ではなく、経営者でもない。ただ1時間あたりいくらで雇われている使用人であり、そうであるからこそ、しっかりとした権利が保障されている。

 だが日本では、会社の所有者は株主であるという考え方は否定されている。株主よりも社員の方に「会社は自分達のモノ」という意識が強い。また経営者の多くは、従業員から年功序列で昇進した人がほとんどで、株主に経営をまかされているという感覚は薄い。つまり、広い意味では、経営者も従業員の一部である。

 つまり日本の会社は、経営者も所有者も労働者も、その概念があいまいになったまま渾然一体となっている存在であり、一種の農村型ムラ社会を形成している。したがって、法律上のタテマエはともかくとして、現実には経営者には絶対的な権限がない代わりに、労働者にも明確な権利はない。ムラ社会なのでパブリックとプライベートの境目も曖昧であり、明確なルールはないものの「掟」は存在する。

 有給消化の問題をマナーの問題として捉えた識者の発言は、近代合理主義社会からすれば非常に違和感があるが、前近代的なムラ社会ではごく自然な発想なのである。

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その中で出世できる人とは?
 こうした「カイシャ」はかなり多く、出世もその中で実現しなければならないのが現実である。ムラ社会において大事なことは周囲との調和である。その意味では、周囲への配慮を欠かさず、事前の根回しをしたり、お菓子を持って行くことは効果があるという結論になる。

 日本のカイシャにおいて出世する人は、総じて周囲の評判がよい。中には上司の一本釣りで、周囲の評判がよくないにも関わらず出世するという人もいるが、このような抜擢人事は日本ではあまり存在しない。

 どちらかというと、昇進候補者の中から周囲の評判のよい人がさらに絞られていくという形で昇進が決まることが多いのだ。その意味では、周囲に対する配慮はしておくに越したことはない。

 優秀であっても、こうしたムラ社会的な制度に納得できない人は、さっさと独立してしまうだろう。逆に、こうした制度を何の疑問もなく受け入れている人は、仕事の能力に少々疑問が残る。結局のところ、こうしたシステムの理不尽さも理解しつつ、それを難なくこなせる人が、最終的に組織では出世していく。

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