とうとう年功序列の賃金体系にメス?
これまで日本の労働市場ではタブーといわれていた年功序列の賃金体系にメスが入る可能性が高まってきた。もしこれが実現すると、会社における出世の法則も大きく変わることになるだろう。
何と首相が年功序列見直しに言及
きっかけとなったのは、安倍首相の発言である。政府は、経済団体、労働団体の代表らが雇用や賃金について話し合う「政労使会議」というものを開催しているが、先日の会合で冒頭、安倍首相が年功序列の賃金体系の見直しについて言及した。
首相がこうした問題に触れるのは異例であり、政労使会議では、安倍政権として年功序列賃金の見直しを強く求めるサインと解釈している。
本来、従業員の待遇というものは、労使間の交渉で決定すべきものだが、日本の企業や労働組合は完全に機能不全を起こしている。現実には、政府主催の政労使会議が実質的な労使交渉の場となっており、この場において、年功見直しの方針が示された意味は大きい。
年功序列見直しと聞いて、喜ぶビジネスマンもいるかもしれないし、イヤだと思うビジネスマンもいるだろう。同じ見直しでも制度の内容によるという人もいるだろう。
ところで、仮に年功序列が見直しになった場合、果たして、どのような人事体系になるのだろうか?
転職の活発化や、評価時期が早まる可能性も
同じ年功序列の見直しといっても、若手で優秀な人を抜擢するというより積極的なやり方を採用するところもあれば、逆に出世していない中高年の賃金を大幅に見直すというところを重視する会社もあるだろう。
いずれにせよ、程度の違いはあるにせよ、若手で大きな実績を上げている人にとっては、チャンスが大きくなることはほぼ間違いない。一方で、出世のレースはより早い段階で選抜が始まると考えるべきだろう。
少々気になるのは、出世レースが早まった場合、ポテンシャルでの評価の比率が高まる可能性である。十分に実績を上げる年齢になる前から、幹部候補を選抜するということになると、学歴や入社試験の結果など、ポテンシャルが高いことが評価対象となる可能性がある。
そうなってしまうと、実際に成績を出す前からある程度レースが決まってしまうという結果になることも考えられる。特に若手の人は、若い段階で会社はどのような人物を評価するのかよく理解しておいた方がよいだろう。最初の出世候補に選抜されないと、その後のレースで挽回することは、難しいからだ。
この政労使会議での動きと前後して、日立やソニーでは管理職の年功序列賃金を見直すことを発表している。多分に経過措置を含んだものも多いようだが、長期的には確実に日本企業における働き方を変えることになる。同じ会社に長くいるメリットは少なくなるので、転職によるキャリア・アップもより活発になるかもしれない。
【参考記事】
「全力投球しなくなったら出世は終わり」
【関連サイト】
「お金持ちへの取材で明らかになった、お金持ちになるための法則」
「投資で成功するために絶対知っておくべきこと」
「起業・独立で成功するために知っておくべきこと」
「放射能から身を守る食品サイト」
「記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト」
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