出世する人はメシを食うのが早いというのは本当か?
前回のコラムでは、職場ごとに出世するための「見えないルール」があることを書いた。この「見えないルール」をちゃんと理解しないと、どんなにがんばっても空回りになってしまうのだ。
逆にいうと大して努力もしていないのに、このルールをうまく読み取っていることで、順調に出世する人もいる。
この見えないルールを見つけ出すことが結構大変なわけだが、外資系の企業の中には、このルールを透明化しているところもある(いいのか悪いのかわからないけど・・・)。
出世する人の基準までオープンに?
世界的に有名なアメリカのメーカーであるG社の人事評価システムはユニークだ。
おおざっぱいに説明すると、同社の人事評価の軸は2つある。ひとつは今現在、数字として実績を上げているかというものだ。もうひとつが、仕事がデキる人間としてのポテンシャルを持った人物かかというものだ。
数字は誰の目にも分かりやすいが、今たまたまそうなのかもしれない。数字だけで評価してしまうと、その人が持っている可能性をつぶしてしまいかねない。だが一方で、可能性ばかり考えて、数字を評価しないと、ゴマスリ君ばかりがはびこることになる。
ということで、両方を評価しようというわけである。
だが、仕事ができる人間のポテンシャルってどう評価するんだ?という問題が出てくる。これに対する同社の評価基準はとても面白い。
どのような人物が、仕事ができるのか、という行動パターンを体系化しており、それにどの程度当てはまっているのかで評価するのである。
この行動パターンには、「緻密に分析できる」とか「あきらめないで粘り強く仕事を進める」といったそれらしいものもあるが、「ハキハキと元気な声で挨拶をする」とか「周りの人に積極的に話しかけて場を和ませる」といった「?」なものもある。
「元気な声で挨拶できれば仕事ができるのかよ!」「バカバカしい」と思うかもしれない。だが結構この方法は侮れないのだ。
確かに元気に挨拶をするヤツが仕事ができるとは限らない。声だけデカくて仕事はまるでダメというヤツは大勢いる。
だが、元気に挨拶をして、かつ粘り強いタイプということになると仕事ができる人の割合は少し高まってくる。
これを20項目、30項目と繰り返していくと、条件に合う項目が多ければ多いほど、不思議と仕事ができる人ばかりになるのだ。
メシを食うのが早いヤツは仕事ができるというのは本当か?
筆者の本職は経営コンサルタントなのだが、この手法は会社の経営分析にもよく使われる。うまくいっている会社を分析して、特徴的な要素(たとえばクレーム対応が早い」など)を抜き出していく。このようにして得られた要素は、それぞれに例外はたくさんあるのだが、全体としては、うまくいく会社の基準となるのだ。
かつて日本電算という会社が新卒を採用する時に、一斉に昼飯を食べさせて、早く食べた人から採用したという有名な話があるが、かなり極端ではあるものの、これに近い考え方だ。
メシが早ければ仕事ができるとは限らないのは当たり前だ。採用される側に立てば、そんなことで人事が決められてはたまったものではない。
だが、同社の創業者である永守氏は、経験則上、メシを食うのが早い人は仕事ができる割合が高いことを知っているのだ。
どうせ面接などをやっても人物の評価を100%することなど不可能である。なら、デキるヤツの割合が高いことが分かっているメシの時間で決めてしまった方がよっぽど合理的というわけだ。
外資系の会社は、デキる人の人物象まで、パターンで決めてしまいこれをオープンにする。一方日本の会社の多くは、「人をパターン化して評価するのはよくないこと」という建て前があるので、このルールがオープンになっていない。だが実際には「見えないルール」によって評価されているのだ。
どっちがよいのかは分からないか、仕事がデキる人の基準というものはどうやら存在するらしい。
会社の出世とは、その基準を表面的にどれだけ満たしているのかを競うという、ただのゲームなのである。バカバカしいがそれが真実だ。ゲームに参加するかしないかはあなた次第である。
【関連サイト】
「お金持ちへの取材で明らかになった、お金持ちになるための法則」
「投資で成功するために絶対知っておくべきこと」
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「放射能から身を守る食品サイト」
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