人手不足というのは本当か?
今、ビジネスの世界では、深刻な人手不足になっているという。まだ景気が完全に回復したとは思えないのに、これはどういうことなのだろうか?また、この話はビジネスマンにとって朗報なのだろうか?
日本の労働人口は急激に減少中
企業が人手不足に苦しんでいるのは紛れもない事実である。その最大の要因は、日本の労働人口が毎年、確実に減少しているからである。
現在、日本には約6500万人の労働人口がいるといわれている。内閣府の調べによると、このまま何も対策をしない場合、2060年における労働人口は現在の6割まで減少してしまう。女性の社会進出を徹底的に進め、スウェーデン並みにした場合でも、2割の労働力人口が減少する。
すでにその傾向が顕著になってきており、一部の業種では、慢性的な人手不足となっている。
人手が足りない業種の典型は建設で、これにははっきりとした理由がある。ここ2年、大規模な公共工事を政府が立て続けに発注しているからである。これにオリンピック特需が加わっているので、とにかく建設作業員が足りない。政府では、移民を増やして建設作業員を確保しようとしている。
この業界は特殊要因と考えることもできるが、同じように外食産業でも、アルバイトの確保が極めて難しくなっている。中には時給を1300円出しても、店舗で働く店員を確保できないという。外食産業には、建設特需のような要因はないので、これは構造的な要因と考えられる。
ホワイトカラーは依然として余剰気味
労働人口が減ったといっても、ここ数年で急激に減少したわけではない。働けるのに働かない人が多いという指摘はおそらく事実だろう。
大学や大学院を卒業する人の割合は増加しているにも関わらず、企業の幹部候補生の採用枠はほとんど変化していない。ホワイトカラーの需給には明確なミスマッチがありそうだ。
だが、今後、労働市場で余った人たちが、どんどん積極的に働きに出るのかといえば、おそらく答はノーである。やはり人手不足は慢性的に続く可能性が高いのだ。
ただ、こうした人手不足は、建設現場や店舗など、単純作業の労働者の世界が中心である。企業のホワイトカラー層の人たちは、いまだに人員が過剰である。
単純労働の労働者は人手不足が続くので、給料は今後、上昇していくだろう。一方、ホワイトカラー層、特にホワイトカラーの中でも単純労働に近い仕事をしてきた人の賃金は、今後も低下圧力が継続する可能性が高い。
いくら人手不足だからといっても、あらゆる職種で労働者が有利になるわけではないのだ。
特に影響が大きいのが、出世は目指さないが、そこそこの地位で会社に長く居続けようと思っている人たちである。
スペシャリストとしての技能を持っていれば話は別だが、そうでない場合には、年齢が高い分だけ賃金が高く、若い社員との比較で不利になる。今後は出世をするのか、スペシャリストになるのかという選択が、ますますシビアになってくるだろう。
【参考記事】
「伊藤忠が導入した社員朝型化から出世の法則を考える」
【関連サイト】
「お金持ちへの取材で明らかになった、お金持ちになるための法則」
「投資で成功するために絶対知っておくべきこと」
「起業・独立で成功するために知っておくべきこと」
「放射能から身を守る食品サイト」
「記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト」
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