なぜあなたは出世できないのか?-出世の教科書

ビジネスパーソン100人への取材で明らかになった出世する人の特徴

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専門性は諸刃の剣

 

 「日本企業はゼネラリストを重視しているが、諸外国の企業はスペシャリストを重視している。日本企業もグローバル化が進んでいるので、これからは専門性が重要だ」。これが従来のキャリア論の常識であった。確かにそれは正しいのだが、100%そうとは言い切れない部分がある。場合によっては専門性へのこだわりが諸刃の剣となる可能性もあるのだ。

専門性の重視は雇用の流動化とセットで初めて機能する
 キャリアにおける専門性の重視は、雇用の流動化とセットになっている。例えば、ある企業でダイレクトマーケティングの導入が必要になったと仮定する。外国の企業であれば、すぐにダイレクトマーケティングの専門家を新規に雇用するだろう。一方でダイレクトマーケティングの導入で不必要となったマスマーケティングの部門はリストラされてしまうだろう。

 逆に別の企業ではマスマーケティングの人材が必要になれば、その人材の新規雇用を行う。
 このようにひとつの会社に長く在籍することはなくても、それぞれの専門家として実績を上げていれば、雇用は確保されることになる。
 したがって自分の専門性を磨くことは、キャリアアップにとって非常に重要なことといえる。逆に言えば、こうしたキャリア論は雇用が流動化し、会社間での人の異動が激しいからこそ成立するともいえる。

 だが日本の場合は必ずしもそうはならない。一旦社員を雇用してしまうと原則として解雇はできない。このため新しい人材を雇用するのではなく、社内の人間に新しい分野を独学で勉強させて取り組ませるということが多くなる。そうなってくると専門性はそれほど重要ではなくなり、会社からの命令でどんな分野でもソツなくこなす能力の方がむしろ大切となってくる。

 自分は「~の専門家なのでそういうことはできません」という社員はかえって使い物にならないという判断をされかねないのだ。

転職しないことが最大のキャリアパス?
 以前は日本企業も海外企業のような経営形態となり、雇用が流動化していくと考えられていた。だが現実はかなり異なっている。

 中小企業にはもとから雇用の安定など存在していないが、大企業における雇用の流動化は思ったほど進んでいない。しかも最近の日本企業は、ガラパゴス化が急速に進んでおり、外部にはあまり目をむけず、日本市場の殻に閉じこもる傾向がさらに強くなっている。もしかすると、雇用の流動化は今後、ほとんど進まない可能性もある。

 そうなってくると、すべての雇用調整は社内で行われることになり、配置転換や減俸という形でリストラが進んでいく。このような環境では高い専門性を持っていることはあまり意味をなさない。その専門性を生かす職場が社内でなくなってしまえば、その能力を生かすことができないからである。

 むしろ専門性とは関係なく、配置転換に合わせて、どんな仕事でもそれなりに吸収し、ソツなく成果を上げるタイプの方が会社からは重宝される。またリストラにあっても、それにうまく対処することができることになる。

 一方で転職市場の拡大という動きもあるので、この話は全員にとって正しいとは限らない。だが雇用の流動化が怪しくなってきている今、ひたすら専門性を磨くことだけがキャリアアップにつながるわけではないことだけは確かだ。この事実はよく認識しておいた方がよいだろう。

 専門性など関係なく、とにかく今の会社で生き残ることが、最大のキャリアパスになるかもしれないのだ。

【参考記事】
これからの時代にリストラされやすい人
【関連サイト】
お金持ちへの取材で明らかになった、お金持ちになるための法則
投資で成功するために絶対知っておくべきこと
起業・独立で成功するために知っておくべきこと
放射能から身を守る食品サイト
記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト

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