誰が出世するのかを見極める方法
会社の中で誰が出世するのか分かれば、いろいろと便利だ。もちろん自分がその対象ならベストなのだが、仮にそうでなくても、出世の可能性が高い人が分かれば、その人とのコミュニケーションも変わってくる。
会社によっては幹部候補となる人材を明示的に選抜するところもあるが、多くは誰が出世する可能性が高いのかは公にはされない。皆社内の雰囲気で何となく推察している。
何か客観的なサインなどがあるといいのにと誰もが思うに違いない。
販売を中止したソフトの恐るべきパワーとは
出世しやすい人には、情報が集まりやすいといわれている。
出世の最低条件として一定レベル以上に仕事をこなす能力が必要なので、まず仕事に関する情報が多く集まってくる。また上司や部下とのコミュニケーションが上手である可能性も高いので、上からも下からも情報は集まってきやすい。
実際それは本当のことである。
あるシステム会社はせっかく開発したシステム商品の販売を取りやめた。導入効果が薄いのではなく、導入効果があまりにも強烈なので、顧客企業が導入をためらってしまい、販売の見通しが立たなくなったのである。
どんなソフトなのか?
それは、電子メールのやり取りの数を可視化するソフトであった。そのソフトの画面では、人と人とが線で結ばれている。線の太さは電子メールのやり取りをした数を示している。電子メールの内容はプライバシーや機密情報の管理もあって見ることはできないが、誰が誰にどの程度メールを送っているのかが一目瞭然である。
この結果は人事部門の担当者を驚愕させた。
社内の昇進候補となっている人物にメールの情報が集中していたのである。出世のキーマンとなっている人物は発信、受信ともに多数のメールがやり取りされている。だが出世に縁遠いと思われている人物には受発信の数が少なく、さらに特徴的な現象として多くが受信ばかりで、キーマンに対する発信がほとんど見られなかった。
このソフトが導入されてしまうと、誰が出世候補なのか分かってしまい、社内で大問題になると考えた人事担当者は導入に強行に反対したという。
人間の相対的な力関係は「見える化」できる
実はこの手法は、学者の評価にも良く使われる手法である。どの論文が誰からどの程度引用されているのかを追跡調査すれば、誰がその分野のキーマンなのかが良く分かるというものである。
高分子の構造解析でノーベル化学賞を受賞した田中耕一氏は、ノーベル賞を受賞するまで日本では完全にノーマークであった。
日本は実力よりも学歴や地位などの権威がモノを言う社会である。博士号も保有しておらず、企業の一研究者でしかなかった田中氏に注目する人などはいかなったのである。
だがノーベル賞の受賞者選定委員会は、関連する論文の引用回数や引用元を丹念に調べていた。田中氏の論文は常に中核に位置しており、田中氏への受賞が決まった。
この分析手法は学者の世界だけでなく、国家間における覇権争いの分析にも応用できるスグレものなのだ。
このソフトが社内で自由に使われれば、情報という統制手段の一つを失ってしまい、企業にとって由々しき事態となる。このソフトが販売できなかった本当の理由はこのあたりに存在する。
では現実の社会において誰が情報のキーマンになっているかを知ることはできないのだろうか?
情報が持つ不思議な力
ソフトと違い、現実社会では、情報をたくさん持っていても、その本人はあまりそれを口に出して言わないかもしれない。
だが情報とは不思議なもので、情報を持っている人がよほど神経質に隠匿しない限りは、情報を持っていることが周囲には分かるものである。
たとえば会社の同僚に関するちょっとした噂話、会社の経営方針に関する話、取引先の話など、何気ない会話であっても、ホンモノの情報を持っている人の話には、どこか信頼性を感じさせるものがある。情報通のフリをしている人とは違う雰囲気が感じられるのだ。
社内の出世候補を知るには、注意深く周囲を観察し、誰が質の高い情報を持っているのかを考えるの早道だ。
もし自分が他よりも情報を持っているという自覚があれば、それは自分も出世候補になっている一つのサインかもしれない。
逆に自分があまり情報を持っていないようであれば、誰が情報のキーマンなのかを突き止めることで、対応策を講じることも可能となるだろう。
【参考記事】
「出世する人は最初から決まっている?」
【関連サイト】
「お金持ちへの取材で明らかになった、お金持ちになるための法則」
「投資で成功するために絶対知っておくべきこと」
「起業・独立で成功するために知っておくべきこと」
「放射能から身を守る食品サイト」
「記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト」
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