なぜあなたは出世できないのか?-出世の教科書

ビジネスパーソン100人への取材で明らかになった出世する人の特徴

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「読書家は出世できない」という話に潜む真実とは?

 

 最近は本を読む人が減ってきたといわれるが、それでも読書家の人は周りにも一定数存在する。読書は良いことだらけのように思われているが、出世という観点からすると読書家はマイナス要素が多いのだという。
 
 実は筆者は、自分で言うのも何なのだが結構な読書家で、これにはかなり耳が痛い。だが話をよく聞くと、読書そのものがダメなのではなく、読書家の人が陥りがちな性格が出世にとってマイナスになるという話のようである。

読書家は「教養」や「べき論」が大好き
 出世したビジネスマンに読書のことを聞くとかなり手厳しい意見が出てくる。

 もっとも多いのが、「読書家の人は、いわゆる教養的な、あるいは天下国家論的な話をしたがり、泥臭い現場の話から目をそらしがち」というものだ。

 実用書やノウハウ本ならともかく、読書するに値する本となると、大局的な立場からモノを見るという内容になる。会社経営の話であっても、トップや投資家の目線から見た戦略的な話や経営哲学的な話がほとんどだ。さらに政治や歴史モノになるとまさに天下国家論である。

 例えば、会社の業務の最前線で、新しい商品の販売方法と数量ノルマを議論しているときに「日本におけるマーケティングの歴史的な流れに照らしてみると、この商品はどう位置づければよいですかねえ」などという話をされても「はあ?」ということになってしまう。

 だが、そのような話をしている本人は、最前線の現場の話であっても、ある程度の教養をもとに議論をするのは重要なことだと思っているので、常に話は噛み合わない。

 もうひとつのパターンは、本に書いてあることをそのまま「べき論」として持ち込んでくるというものである。

 例えば経営書などを読むと、うまくいっている会社の例として、カフェテリアで飲食がタダで自由にできるという話や、リモートオフィスのシステムを使って自宅で働くなど、先進的ケースが紹介される。さらにそこには「社員力」をうまく引き出すことで、会社の経営も向上する、というような解説も加えられている。
 その話をそのまま持ち出して、「わが社はもっと社員力を引き出すべきです」というようなテーマを語りはじめるというわけだ。

 この二つの話は何が問題なのだろうか?話している人が周囲から浮くというような単純なレベルではなく、もっと重大な問題が潜んでいるのだ。

教養をめぐる目からウロコの解釈
 中堅メーカーの社長で四書五経にも精通した教養人であるK社長の意見は実に驚くべきものである。

 「天下国家論や教養論を持ち出す人物は、知性や教養について根本的な勘違いをしています」

四書五経のひとつ「中庸」

 読書家の人は、知性や教養のある人こそが評価され、会社のトップに立つべきだと考えているが、これが大間違いだという。

 K社長によれば、知性や教養がある人がトップに立つべきなのではなく、トップに立った人が自分の権威を見せ付けるために、知性や教養を利用するのだそうだ。まったく話が逆である。これはどういうことなのか?

 中国には太古の昔から儒教というものがあり、徳のある人物が天下を治めるとされている。だが実際に天下人になった人の多くは極悪非道、残虐極まりない人ばかりである。

 だが儒教によれば、徳のある人こそが天下人になると説いている。つまりなってしまえばこっちのモノ。「俺には徳があったから皇帝になれたのだ」ということになる。
 儒教の本当の教えとは、とにかくどんなムチャをやってもいいから、とにかく上に立ったヤツが勝ちということなのだそうだ。

 儒教は東洋における教養の頂点といわれているが、覇権を握った既得権益者に限りなく有利に出来ているのである。古今東西を問わず教養とは多かれ少なかれそういうものなのだ。
 トップになったヤツが、やれ歴史観だ、哲学だなどと持ち出して「オレは偉いんだゾ」というために教養本がある。ヒラのときにそれを持ち出すのは本末転倒というわけだ。

 では、本に書いてある「べき論」を持ち出す人は何が問題なのか?

本は誰に向けて書かれているものなのか?
 それは、本という商品のマーケティングをまったく理解していないことである。

 出版社は誰に向けて書籍を売るのだろうか?経営者に向けて売るのだろうか?そうではないはずだ。世の中に経営者なんてごくわずかしかいない。人口のほとんどは、会社で従業員として働くサラリーマンだ。このボリュームゾーンに向けて商品を提供しなければビジネスにならないのだ。

本は誰のためにある?

 世の中の経営書のほとんどは、経営者に向けて書かれたものではなく、経営にタッチすることのない従業員に向けて書かれているものであることに気づいていないのだ。

 従業員にとってみれば、自由なカフェテリアや自宅でのリモートオフィスは魅力的であるに違いない。つまりその本は経営のノウハウを売っているのではなく、従業員に夢を売っているのである。その本を書いている著者は、それが会社の経営にとって本当のところどうなのか?などということはあまり考えていないのだ。

 これはTVや雑誌も同様である。この世界で語られているこを真にうけると大変なことになる。
 
 読書家の人はある意味で「クソ真面目」なのかもしれない。本に書いてあることを真に受けてしまう。読書そのものが云々という話ではなく、これでは出世から遠ざかってしまうのも無理もない。

【参考記事】
出世できない人の鉄板「社内評論家」
【関連サイト】
お金持ちへの取材で明らかになった、お金持ちになるための法則
投資で成功するために絶対知っておくべきこと
起業・独立で成功するために知っておくべきこと
放射能から身を守る食品サイト
記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト

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