誰にでも平等に接した方がよいのか?
誰に対しても分け隔てなく平等に接するべきとうのは一般によく言われていることである。だが人間には感情というものがあり、いざ実践するとなるとなかなか難しい。それに組織で出世するということを考えた時に、分け隔てなく平等に接することはそもそもプラスになることなのだろうか?今日のテーマは他人に対する接し方である。
態度が変わる人と変わらない人
人によって態度が変わらない人は人格者だといわれる。確かに、相手が自分より立場が下と見るやいきなり横柄になったり、上の人間に対して媚びへつらってばかりの人は他人から尊敬されるわけがない。
だがどんな時も、どんな相手にも態度がまったく変わらない人というのも、ちょっと信用できないものがある。多少は相手によって態度に変化があった方が人間らしくて自然である。
また一方で、より自分が優位に立つために、相手にとってもっとも効果の高い接し方を選択している人もいる。特に部下に対しては、褒めた方が伸びるタイプとけなした方が伸びるタイプがいるため、これを使い分けるのだ。実際、これはかなりの効果を上げていることも多く、人によって態度が違うことよりも、自分にとって心地よい態度を取ってくれることの方が優先され、悪く言われないことも多い。
要するにバランスと臨機応変な対応ということなのだが、組織のカルチャーによっては他人に対する接し方に明確なルールが存在するところもある。
公務員型の組織では他人に対する配慮が極めて重要
一般に、組織が公務員型か外資系型かという違いで、他人に対する接し方が出世に及ぼす影響は大きく異なってくる。
ここでいう公務員型とは、基本的に減点主義でリーダー不在、コンセンサス重視型の組織を指す。官公庁はもちろんのこと、古い日本の大手企業などに多いパターンである。外資系型は基本的にトップダウンで、誰がリーダーで責任者なのかが明確になっている組織である。外資系企業や一部のベンチャー企業もこれに該当するかもしれない。
公務員型の組織では、基本的に誰に対しても丁寧に接していた方が圧倒的に有利である。それが部下や外部の人であっても同様である。
このような組織は、何事もなく組織人としての人生を過ごすことができた状態が100点満点であり、何かトラブルが起こればそこからマイナスされていく仕組みだ。基本的に大きな成果を上げて挽回するということは不可能である。しかもリーダーが明確に決められていないので、その場の雰囲気で物事が決まる傾向が強い。
何か責任問題に発展する事態が起こったときには、ルールではなく、その場の雰囲気で誰がババを引くのかが決まる。要するに村八分になってしまえば終わりということである。このような状況に置かれた時、周囲の人から評判が悪かった人は格好のターゲットとなる。部下にきつくあたっていた上司が部下から仕返しされることもあるのだ。
だから優秀な公務員は、内部、外部、上司、部下を問わず、誰に対してもバカ丁寧な言葉使いをして、頭を低くしている。これはこのような組織で最大のパフォーマンスを上げるための知恵なのである。
トップダウン組織では人格は関係ないか?
これとは逆にトップダウン型の組織では、下に対する配慮はほとんど関係がない。何をもって実績とするのかも事前に決められており(それが不条理な内容であっても)、それさえ達成していれば人格などあまり問われないからである。
もちろん周囲に対する接し方も評価項目に入っていれば話は別で、それに従わなければならない。つまりルールや意思決定権者の意向がすべてであり、それを満たしているのかだけを考えればよいのだ。
もっとも出世と周囲への接し方に直接の関係がないといっているだけで、人によって態度をコロコロ変える人が出世しやすいのかというと必ずしもそうではない。統計があるわけではないのではっきりしたことはいえないが、筆者が知る範囲では、出世した人の中で、人によって露骨に態度を変えるタイプの人はあまり多くない。どちらかというと「私はあなたのことを常に大切に思っていますよ」というセリフを誰にでも言ってそうなタイプの人が多かった。
あまり目立たない範囲で、人によって態度を変えるというのが、もっとも効果的なようである。
【参考記事】
「怒鳴ってもよい職場とダメな職場」
【関連サイト】
「お金持ちへの取材で明らかになった、お金持ちになるための法則」
「投資で成功するために絶対知っておくべきこと」
「起業・独立で成功するために知っておくべきこと」
「放射能から身を守る食品サイト」
「記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト」
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