なぜあなたは出世できないのか?-出世の教科書

ビジネスパーソン100人への取材で明らかになった出世する人の特徴

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総合力は評価されにくい

 

 「○×すべき」というべき論が出てきた時は要注意だ。学歴にとらわれず採用すべきだ、社員の潜在的な能力をもっと引き出すべきだ、などなど、世の中にはべき論が溢れている。だが「べき」論が語られる時というのは、往々にして現実はその逆であり、現状を変革したくないことの言い訳として「べき」論を語るという手法が用いられる。

総合力の評価はほぼ不可能
 よくある「べき」論のひとつに、総合力をもっと評価すべきというものがある。最近は技術の進歩や社会の変化が早く、過去の成功体験だけにとらわれていては時代に取り残されてしまう。知識はネットでいくらでも仕入れることができるので、その知識を合わせて新しい価値を生み出す知恵がより重要である。といった具合だ。

 まさに正論である。これからはそのような人材が必要とされている。だが先ほどの「べき」論に隠された真実という観点で考えると、これは逆に解釈することもできる。そのような人材が評価され登用されることは、現実にはかなり難しいということである。

 考えてみれば当たり前で、新しい能力を持った人材を評価する人材は、古い体質の中で出世した人たちである。彼らに正確な評価などできるわけがないのだ。仮にその能力をある程度評価できたとしても、今度は自分達の立場が危うくなってくる。積極的に登用するインセンティブは働かないだろう。
 これがトップダウン方式の組織であれば、トップの鶴の一声で決めるということも可能となる。だがコンセンサス型、ボトムアップ型の組織(日本企業はほとんどこれに属する)において、変革をもたらす人材の登用はかなり困難である。

既存のルールで勝たないとスタートラインに立てない
 出世という観点でこのことを考えると、次のように考えることができる。既存の枠組みで評価される能力を持っていなければ、仮に今後必要とされる新しいスキルを持っていたとしても、評価、登用されることはないのである。

 組織の中で出世し、その後組織に変革をもたらす人物は一定数存在する。だがその人物は、既存の価値観の中でも評価される人材でもある。というよりも、既存の価値観の中で評価される人材で、変革をもたらすことができる人材は極めて少ないといった方がよいかもしれない。

 組織の中で出世しようと思ったら、その組織で過去に培われた評価基準やルールは絶対の存在である。新しいスキルや総合的な能力はほとんど評価されないと考えるべきだ。

組織横断的な知見は他人には理解不能
 これは組織の中の専門性という意味でも同じである。
 営業職と技術職の両方を経験した人は、両者の知見を組み合わせ、新しい仕組みを生み出せるかもしれない。だがほとんどの場合、営業に技術の話をしても関心は持たれないし、技術に営業の話をしても同様である。

 大方の人間は既存の枠組みで実績を上げたかどうかでしか人を判断することはできない。したがって組織で自分の考えを主張するためには、必ずどこかの枠組みに沿った文脈で話をする必要がある。その意味で、自分はどの立場の人間かを明確にできない人には、出世にマイナスの影響があるかもしれない。

 総合力が大事というのは真実なのだが、総合力では出世することはできない。わかりやすい既存のルール上で成果を上げないと評価の対象にはならないのだ。

【参考記事】
同じ部門を進む人とあちこち異動する人
【関連サイト】
お金持ちへの取材で明らかになった、お金持ちになるための法則
投資で成功するために絶対知っておくべきこと
起業・独立で成功するために知っておくべきこと
放射能から身を守る食品サイト
記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト

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