ゼネラリストとスペシャリストのどちらが出世できるか?
日本の会社はゼネラリスト指向だといわれる。かなり以前からスペシャリティが大事だといわれ続けているが、日本の会社の人事システムが大きく変わった様子はない。出世を考えるとき、ゼネラリストとスペシャリストのどちらが有利なのだろうか?
日本企業はゼネラリストとスペシャリストがあいまい
まず結論から言うと、ゼネラリストがよい、スペシャリストがよいという話にはあまり惑わされない方がよい。日本の場合、職種採用という概念がそもそも薄い。
諸外国は、職種採用が多く、マーケティング担当者は、どこに転職してもマーケティング担当者のままである。出世もマーケティングの世界で上り詰め、その上の段になって経営者に転じるというパターンが多い。
だが日本の場合、職業に就くのではなく、その会社に就社するという意味合いがいまだに主流だ。日本の会社に就職している以上は、厳密な意味でスペシャリティはないと思った方がよい。
マスメディアなどでは、時代が変わり、そのような考え方は通用しなくなると解説しているが、これは何十年も前から言われ続けていることである。日本の会社はまったく変わっていないし、これからも大きく変わることはないだろう。
日本企業は会社内部での役割分担もはっきりしていない。本来、会社組織にはラインとスタッフという概念が存在している。ラインとは指揮命令系統の線上にいる人たちのことで、業務に関して組織を動かす権限を持っている。当然結果責任も負わなければならない。
ラインとスタッフで求められる能力は異なるが・・・
ラインの仕事をする人は、組織の中核になる人なので、強いリーダーシップが必要となる。ある専門分野に関する掘り下げた知識よりも全人格的な能力が求められるのだ。
これに対してスタッフとは、ライン上にいる人たちを専門知識でサポートする人たちのことである。組織を動かす必要はないが、高度な専門知識が必要とされる。
ラインは典型的なゼネラリストであり、スタッフはスペシャリストである。この役割分担でいけば、出世候補は当然ゼネラリストとなる。スペシャリストはスペシャリティの分野でキャリアを磨くことになる。
だが、日本の組織はこの役割分担が明確ではなく、責任の所在もあいまいだ。意思決定もボトムアップ型になっている。いい悪いはともかくそのような組織なのだ。
ラインの立場だった人がスタッフ的な部署に異動したり、その逆の異動もある。このような組織では、本人の専門性よりも、会社の中での立ち位置の方がずっと重要となる。そこでムリにスペシャリティのあるキャリアを積もうとすると、会社の人事と整合性が取れなくなる可能性がある。
外資系以外の場合には、あまり深く考えない方がよい
もっとも外資系を中心に転職を試みる場合には、専門性は絶対的要素となる。転職が当たり前の外資系であっても、異なる職種での転職例は極めて少ない。最初に入る会社が外資の場合には、自分のスペシャリティを何にするのか決めなければならない。
日本の会社でもある程度年齢が上がってからの転職であれば、専門性がないと採用の対象にはならないが、おそらくそれは前の会社で自然に形成されたスペシャリティである。入社時点から本人の希望で作られたものではない。
このように日本では、本人が意図したからといって必ずしもスペシャリティが磨けるわけではない。若いうちの選択としては、基本的に同じ会社にいることを前提にしたキャリアなのか、転職を行うことを前提にするキャリアなのか、というくらいを決めておけば十分だろう。
【参考記事】
「転職で出世するにはどうしたらよいか」
【関連サイト】
「お金持ちへの取材で明らかになった、お金持ちになるための法則」
「投資で成功するために絶対知っておくべきこと」
「起業・独立で成功するために知っておくべきこと」
「放射能から身を守る食品サイト」
「記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト」
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